死に至る病



これは、私個人が07年の春に体験した事柄に関して、あれこれと考えを書き連ねたものです。特定の病気や医師、病院などの情報を提供する記事ではありません。



今年の二月アリゾナから帰ってきて、しばらくは生活のベースを整えるのに忙しくしていましたが、さぁそれが一段落した三月でしたね、買い物をしていて突然に腹部に痛みを覚え、徐々にそれがひどくなり、休んでいたベンチから立って動くこともできなくなったのは。意識が朦朧としてきたので、店の人を呼んでなんとか家に連絡し、運良く在宅していた父に迎えにきてもらって救急病院に行きました。
で、痛み止めを打ちながらCTを撮りました。それでわかったのは、卵巣に腫瘍ができて数センチに腫れていること。前から少し腫れているのは知っていました。だけど、それが病的なものかどうか病院でも判断しかねていて、そうこうしてるうちに、そのままアメリカに渡ることになり、二年過ごしているあいだに二倍の大きさになってたわけです。

次の日には痛みは収まっていましたが、CTの写真を持って近くの総合病院の婦人科に行き、診察を受けました。まぁ、血液検査とかエコーとかやりましたが、結局、腫瘍マーカーの値は少し高いもののまだ異常とは言えない範囲だし、画像をみる限り中身は恐らく水様のもので、たぶん悪性ではないだろうから、このまま様子をみましょう、と。私としては、とりあえず悪くなさそうだと安心したけれど、はっきりした病名も言ってくれないので、これでいいのかとも思い、昔から知っている少し遠くのお医者さんにセカンドオピニオンをもらいに行きました。そのときは、まだ私も軽い気持ちでしたね。

そのE先生は内科専門で、婦人科ではないですが、私が一番信頼しているお医者さんです。専門外だけれど、顔も広くコネもあるので、どこか適切な病院を紹介してくれるだろうと期待してたんですよ。で、先生のところには凄い最新型エコーがあるわけですが、とりあえずそれで見て、まあ、先生にはちょっと気になることがあったんです。卵巣の壁が厚くなっている部分がある、と。普通は約1ミリ。しかし、エコーでみると、そこだけ6ミリ・・・あとの所見は悪くなくても、先生には、これだけが気になる様子。エコーなんかは機材と先生の経験値しだいですからね、いろんな意味で最初の婦人科よりE先生のほうを信頼している私は、セカンドオピニオンをもらいに行っただけのはずが、「この件、僕に一任させてくれへんか」という言葉に速攻で頷き、先生の指示通りにあれやこれやと検査を受けることになったんです。

まず、もっと精密な血液検査。そして、MRI、PET。
PETまでくれば、わかる人はわかると思いますが、E先生は何をさておいても、私の腫瘍が悪性、つまり卵巣ガンである可能性を出来る限り排除したい、そこらあたりを出来るだけクリアにしたいという方針だったんですね。「たぶん、違うでしょう」じゃなくて、「ほとんどあり得ない」ぐらいの精度で。もちろん、こんな場合、100%なんて誰にも言えません。どんな名医だって、オペをして組織を採取して細胞検査をしない限り、そんなの無理です。いや、たとえ細胞検査をして、それでも、「わからない、白黒つかない」ということだってありますからね。人体の神秘ですよ。

E先生は、何の根拠もなしに、やたらそんな大袈裟な検査をさせる先生ではないので、私も「まさかなぁ。たぶん違うだろう」と思いつつ、もしガンだったらどうなるのかな、と考えてみました。幸い、インターネットで検索すれば、一般的な知識、ある程度のことは調べられるようになってます。そのうえ、実際にガンになった人の闘病手記やら記録など生々しいコンテンツも見つかります。私は片っ端から、調べたり読んだりし続けました。今まで、自分がそんなことになると思ってませんからね。大きな病気や怪我などで入院したこともないですし・・・わからないことだらけでしたが、次から次へと読んでいくうちに、だいたいの事柄は想像できる感じになってきました。つまり、この検査でこの値がでたら、こういう可能性があり、治療としてはこうなる、そしてその結果この場合はこれ、あの場合ならあれ、みたいなフローチャートが。

もし私の受けている検査の結果が、ガンの可能性を示唆するものであれば、当然、手術になるでしょうし、その際、細胞を検査してハッキリ黒であれば、両方の卵巣どころか子宮まで全部まるごと切除するのがスタンダードとか。最悪そうなったら・・・べつに子供が欲しいわけではないし、卵巣や子宮がなくなったからといって「女でなくなってしまう」なんて私は悩みませんし、お腹に大きな傷跡ができるのも、このさいですから我慢します。しかし、そんな手術のせいで一気に更年期が来て、日々いろいろと不愉快な症状に悩まされるのは困る。いやいやそんなことより、ガンだったら切ってオシマイではなく、そのあと抗癌剤で長期間の化学療法を受けなきゃいけないじゃないですか。それってもう、クォリティ・オブ・ライフどころの騒ぎじゃないですよね。「闘病」ですよ。それでも、一昔前は抗癌剤治療はものすごくつらいもの、だったけれど、最近では医学も発展して、そのつらさもずいぶん軽減されてるんじゃないかと考え、比較的最近のガン闘病記を読んでいくと・・・やっぱすごくつらそうです。発熱、吐き気、身体の痛み・・・昔に比べて負担はマシになったのかもしれないけど、一時的にせよ髪の毛が抜け落ちて丸坊主になってしまうなんて、それだけで薬の副作用の凄さ、生体に対する破壊力の大きさがわかろうというものじゃないですか。そんな生活を一年も?運悪く再発すれば何年も?
私も、まさかガンだなんて、と思いつつ、万が一のとき、どうなるのか、どうするのか、ちょっと真剣に考えざるを得ませんでした。 


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