Praha

四月九日(金)
午前中はプラハ市内観光。旧市街広場、プラハ城、カレル橋など見学。
午後からは、バスで約55キロ離れた森にたたずむコノピシュチェ城を訪れる。

四月十日(土)
終日、自由行動。地下鉄で市内までいき、「プラハの春」の舞台となったヴァーツラフ広場を散策、おみやげ買いや食事などする。夜はプラハ城内の古い教会にてクラシックコンサート(四季/ヴィヴァルディ)を堪能。毎度おなじみの夫婦喧嘩をのぞけば、大満足の一日。


百塔の街


実際に行くまでは、そんなに期待していなかったんですが、プラハは私が今回の旅でもっとも気に入ってしまった街です。
「百塔の街」という別名の通り、古い街並みの屋根には美しい塔が立ち、中世をしのばせるくすんだ茶色の景色には、なんともいえない郷愁を感じさせる趣があります。
第二次世界大戦ではドイツ軍に占領され、戦後は旧ソ連の影響下の共産体制にあった当時のチェコスロバキア、1968年の革命「プラハの春」はワルシャワ条約機構軍によってつぶされてしまい、自由を勝ち取ったのはやはり激動の1989年のこと。その後、チェコとスロバキアは平和に分裂、プラハはチェコ共和国の首都となったのでした。


プラハの魅力


プラハの魅力というのは山ほどあって、もうとにかく行ってみてくださいという感じなんですが、特に私に対してアピールしたのは、
1、歴史が古く、しかもそこになにがしかの屈折が感じられる。
2、経済的には発展途上国であって、けれども市民にはなにがしかのプライドが感じられる。
3、芸術に対する理解があり、独特の美意識が感じられる。
4、治安はよく物価も安く、人は比較的親切そうで、旅行者にやさしい街である。
これら4点です。

1の屈折というのは、外国に占領されたり、また革命があったり、ということを意味しているんですが、それは歴史の本の1ページに落ち着いて、すでにほこりをかぶったようなものではありません。まだまだ現在に連なっているドラマ性があるんですね。金持ちのボンボンよりたたき上げの苦労人のほうが、一般には面白い話をしてくれるように、屈折の歴史があるほうが、街自体の雰囲気も陰影がでます。たんに、風光明媚を誇る街だとか、誰それという有名人ゆかりの地という単純さとは比べられない複雑なストーリー性があるわけです。外国人旅行者にとっては、それがとてもファンタスティックに映る。

さて、1があって2があるわけですが、ちなみにチェコの一般市民の平均月収は日本円に換算して4万円ほどとか。でも、貧しいという感じはあまりありません。なるほど、バスや地下鉄、走っている車など見れば、うわぁ〜古いなぁ、ポンコツ、と思うし、建物ももはや廃虚となったビルなんかがそのまま放置されている。また、例の如く街じゅうが落書きだらけだったりもするんですが、ひゃ〜貧しい、という湿気た雰囲気はないんですよね。それはなんでかというと、市民の姿に落ち着きがあるからだと私は思ったんです。
これは現地のガイドさんの印象や説明の影響も大きいので、客観的に真実かどうかはわかりませんけど、チェコの国民性として向上心とか克己心があるそうですね。たとえば、ヨーロッパも統合されようという今は、一生懸命英語を習う人や留学する人などが多くなったそうです。まぁ、確かに商店やホテルの人たちの態度にも、サービス精神があるように思いますね。
経済的に発展途上の旧共産圏はどこでもそうなのかもしれませんが、追いつけ追い越せの向上心、ある種の前向きな熱気みたいなものは確かにあると思うんです。なおかつここでは、祖国とか民族の伝統文化みたいなものに、確固たる誇りをもっていて、たとえばアメリカ文化に追随しよう、という雰囲気はあまり見られない(ように見える)。このあたりが、いかにもヨーロッパ的だなぁと思うんですよ。これがアジアだと、文化面・思想面でも、大国アメリカに追随してしまいますよね。けれども、チェコの場合、経済的には一歩譲っても、文化的には譲らないというプライドがあるような気がします。それは歴史からくる誇りかもしれないし、もともとのそういう国民性ゆえなのかもしれませんが、妙にさわやかな感じがします。それが、たとえポンコツ車に乗っていても、先進諸国に追いつけ追い越せと頑張っていても、ぎらついた拝金主義的な感じとか、べったり陰気な貧しさを感じさせないところかな、と思うんです。

3の芸術、こと音楽に関していえば、我々の生活よりも、ずっと豊かかもしれません。毎日、教会などいたるところでモーツァルトやバッハなどのコンサートが開かれているし、その水準も高いと思いますね。街を歩けばコンサートのビラをまいているところにしょっちゅう出くわしますし、もう日常生活に浸透しているように見えます。あちこちで売られている繊細なボヘミアングラス、芸術的に撮られた写真なども有名で、街全体のつくりも、清潔さとか整理された感じとかを超えた観点から見て、非常に美しいです。様々な歴史的文化遺産も多く、なんというか、古き良きヨーロッパ、まるで昔の少女マンガ描くところのヨーロッパがまだ残っている、という感じでしょうか。人に、夢を見させることができる、人が期待するイメージをそのまま受け止めてしまえる、奥深い美しさがあるんです。夕暮れのカレル橋にたたずんでいると、思わず知らず切なさや懐かしさが込み上げてくる、そんな美しさですね。

4については、自由行動をするということで、現地ガイドさんから、タクシーのぼったくりやスリに注意し、地下鉄には乗らないようにと脅されました。が、私たちは、というよりうちの夫は変な人で、ぜひとも地下鉄に乗ってみたいと、その忠告を無視したんですね。結果、べつにどうってことはなかったです。ただ、落書きやなんかが汚いし、ホームや電車は信じられないほど古い。また、おっそろしく深いところに通っているので、怖くなるほど長くて、しかもガタガタと揺れるエスカレーターがあります。(夫は何を興奮したのか、「うわ〜、見てみぃ、旧ソ連って感じやな!」などとはしゃいでいましたが・・・(~_~;)) 地下鉄の危険とは、このエスカレーターのことか、と思ったくらいでしたが、でも、治安的な意味でいえば、子供や女性、お年寄りも乗っているし、少なくとも、明るいうちはだいじょうぶだろうと思います。雑踏でのスリに注意しなければいけないとか、夜ふけの街、人通りのない道が危険なのは、日本にいたって同じですからね。

物価はとても安いです。けちけち旅行の私たちは、ここぞとばかりにおみやげ買いに走りましたね〜。後で行くブダペストも物価が安いんですが、私たちがおみやげを買ったのは、ほとんどプラハとブダペストだけというせこさ(~_~;) だって安いんだもん!額に入れた写真とか、きれいなボヘミアングラス、手編みのレース製品、こまごまとしたおみやげ好適品がいっぱい!思わず夢中になっているうちに、時間がたってしまいます。
あと、現地の人は、チェコ語しかわからないことも多く、道を尋ねるなど英語で話しかけても意志が通じない場合もありますが、たいてい親切に応対してくれますね。関係ないんですが、チェコではなぜかミニスカートの女性を多くみかけました。レストランのウェイトレスなども、脚出しスタイルで注文を取りにくる。それをチロチロ眺めて楽しんでいたらしい我が夫、相場より多くチップを奮発。あきれた私が横目で、そんなにあげなくてもいいんと違うの、と言えば、「ええやないか。せこいこと言うなよ。ここの人たちの生活考えてみ、日本人に比べたら、みぃんな収入なんて少ないんやで。社会の構造ってもんに思いをはせるっちゅうことがないのんか、あんたは?」と。でもさ、ちょっと待ってよ。男のウェイターが来ると、彼も社会の構造の不平等さに思いをはせることがないらしいのはなぜ? ・・・ったく、このエセ社会派の偽善者め!
レストランのドアを出た後、一悶着あったのは言うまでもありません(-_-;)

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