Meissen

マイセン磁器


ドレスデン郊外にある小さな街、マイセンといえば、ヨーロッパ屈指の高級陶磁器の産地として名高いところ。
街外れの立派な磁器工場には、マイセン磁器のコレクションが展示されたミュージアムや、ティールーム、ショップがあります。実際の工房のなかには入れませんが、日本語の案内テープにあわせて、職人さんたちが、型をとったり絵付けをしているところを見学させてくれる部屋もあり、磁器ができていく過程が間近で見られます。

18世紀まで、ヨーロッパには白くてきれいな陶磁器はなかったんですね。当時は、中国や日本からしか手に入らなかったんです。1709年に、東洋磁器のコレクターであった国王アウグスト二世が、錬金術師に命じてヨーロッパで初めての白磁をつくらせたんだそうです。いろいろと失敗も繰り返しながら、やっと成功したもので、もちろん、その製法はトップシークレット、錬金術師をはじめ製法を知る職人は、城内の工場に幽閉されたまま仕事をしていたということです。

青い二本の剣が交差しているマークがマイセン磁器の商標。
見学してみた限りでは、非常に手の込んだ工程を経て、製品になっていくようです。
まず、陶土をこねたりねかせたりする作業があって、そのあとそれを型にとったり、手作業でかたちを整えていき、高温で焼きあげる。さらにこれも手作業で、丁寧に一品づつ絵をつけていくんですが、それだけでも何段階かに分かれているんです。さまざまな職人技が駆使され、機械でできないような繊細なかたち、絵柄が、製品になっていくんですね。
で、値段は、非常に高いです。ショップをのぞけば、一客が三万円もする花柄のティーカップ、一体が十万円もするちっちゃな人形など、手を触れるのも怖くなるようなものばかり。少し絵柄の部位が狂ったものなどは、二級品として値引きされたうえで売られていますが、元値がそれですからやっぱり高い!! 正直、よほど余裕がなければ、こんな食器、とても普段使いにはできないですよ。まあ、買ったとしても、コレクションとして並べておくというのが一般的ではないでしょうか。

うちの夫は基本的にケチですが、人を喜ばすためならそこそこお金は出すほう。私が、ぴかぴかのショーケースにへばりついて、中をじぃっと見ていると、隣で哀れをもよおしたのか、「あんたが気に入ったのあったら買ってもええで、記念やから」というんですが・・・あれこれ見て回った末、やっぱり何も買わないで出てしまいました(~_~;)
できあがる工程の複雑さを思えば、それだけの値打ちがあるのかなぁと思うんですが、ペアでティーカップ買えば、ちょっとした旅行にも出かけられる値段になるんですもの。考えてしまいます。それに、なんていうか、一点豪華主義が嫌なこともあるんですね。何かいいものを買うなら、それに見合った家や調度品、それ相応の生活というものがあってこそ、だと思うので。うちの食器棚にマイセンのカップ並べるより、香港か台湾にでも旅行したほうが、お金の使い方としてずっと納得できる。少なくとも、夫にとってはそのほうがずっと楽しいでしょうしね(^^)

ドイツ人にとっても、マイセンの磁器など高価なもの。小さな置物などを大切にもっていて、娘が嫁入る際に母親からゆずってあげるとか、そういうもんだそうです。まぁ、それはそれでいかにも古式ゆかしい情緒があっていいんですが、結局そういう「モノに託す」というやり方って、こうじてくるとモノを売る側を肥やすだけみたいな気がしてくる。
マイセンでも、複雑な絵付けのものは仕方ないとしても、ほんとにシンプルなブランドマークが入っているだけの白いカップがあって、それだって一客が何千円もするわけです。が、それがけっこう売れているということなんですね。確かに、三万円のカップを見たあとでは安く感じるんですが、冷静に他の社の製品と比較して考えると、それでもやっぱり非常に高価なんです。これを見たあと、かえって私は、なんか冷めてしまったんですよね。そこまでして買う?って・・・
工程を見学して、特別なコレクションを見て回って、というそれまでの段階を踏めば、そのシンプルなカップを見た時点で、気もちがもう、「買いたいけど高い。どうしよう・・・あ、でも、これなら買えるわ!」になっているわけです。売るほうも、「ね、これなら買えるでしょ。何にもないけど、マイセンのブランドマークは付いてますよ」という意図でもってつくってる。親切といえば親切かもしれませんが、姑息といえば姑息な売り方ですよ。ヘンにプライドの高い私は、そこで「ブランドにひざまずかされる」感じがして、冷めたんですよね。どうせなら、マークなんかつけないで、真っ白のままのほうが上品だったと思ったことです。

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