Budapest

四月十三日(火)
朝食後、ウィーンを発ち、ハンガリーの首都ブダペストへ。到着後、昼食をとり、
ブダペスト市内観光。マーチャーシュ教会、漁夫の砦、英雄広場など見学。
夕食は名物のグヤーシュ

四月十四日(水)
午前中、ドナウ川クルーズを楽しみながら、センテンドレという小さな街を
観光する予定を、しだいにつのってきた疲労感でリタイアする羽目に。
遅くまで寝坊してから、ひとけのなくなったダイニングで朝食をとり、市内へ
ぶらつきにでたところ、物価の安さに感動、買い物を精力的にこなす(~_~;)


ドナウの真珠

ブダペストはドナウ川をはさんで、西がブダ地区、東がペスト地区。ドナウの真珠とも呼ばれるこの街には、すでに見たプラハのような奥深い魅力があります。人工的な清潔さや便利さ、尖った都会的センスはないけれど、なんとなく人肌の感じられる心地よさ、雑多な建物から生活の匂ってくるような懐かしさがあるんです。
人々の所得はプラハよりも若干低いぐらいだということですが、わりとのんびりしたムードで、ぎすぎすした感じはありません。英語は通じないことが多いけれど、旅行者には親切だし、商店などでは英語や日本語(!)の堪能な売り子さんもいます。でも、せっかくだったら、あまりそういう観光客ずれしていないところに足を踏み入れてみて欲しいですね。危険な雰囲気はまったくなく、小人数や一人で歩き回っていても、安全です。


フォークロア・ショップ

あちこちに観光客目当てのフォークロア・ショップがあります。手作りのレースや刺繍製品、民族衣装、民芸ふう陶器のカラフルなカップやお皿などが安い!! そしてまたカワイイ!!
ヨーロッパのフォークロアものが好きな女性には、もうたまらない誘惑に満ちた世界です(^^)
レースや刺繍はハンガリーの特産、凝った刺繍入りのブラウスやテーブルクロス、クッションカバーやポーチ、どれをとっても綺麗! 可愛い! お店のディスプレイも優雅で、思わず買い集めたくなります。ブラウスなどは、日本円にして数千円から。私も二枚ほど買いましたが、でも、気をつけないと、やっぱりサイズが合わないですね。だいたいにして私などには大きすぎます。スカート丈などは後で詰められるけど、ワンピースなど買おうとしたら、もう胸回りとかが、ガバガバです。これはべつに、私のその部分がとりたてて貧相だというわけではないと思うのですが・・・第一、肩幅からして違うしね。ウン。
たとえお洋服はあきらめても、まだまだ魅力的なものたちがいっぱい。そういうものを見ているだけで幸せな気持ちになれる私は、隣で趣味の違いから退屈そうにしている夫に気を使います。待ち合わせ場所を決めるとしばらく自由行動することに。いや〜、その小一時間ほどが、充実してたのなんのって(^^) あまり買い込みはしなかったんだけど、でも、見ているだけでも楽しいんですよ。この気もち、行った女性ならきっとわかってくれると思います。
あとで、トカイワインとフォアグラの話もしますが、はっきりいってハンガリーで、ぜひともすべきことのひとつは「買い物」です。


ハンガリー舞踊の夜

十三日の夜は、ハンガリー舞踊を見ながらの食事で、これまた盛り上がりました。このころには旅も長くなり、いい加減疲れてきたので、私は食べに行く前から早く帰って眠りたいなどと思っていたのですが、なんとなんと眠気も吹き飛ぶ大興奮の一夜に(^^)

ハンガリー舞踊って、けっこう激しいんですよね〜。ぜんぜん知りませんでしたけど。そこのお店は、広いダイニングホールの前面に低い舞台がしつらえてあって、そこで演奏と舞踊を見せてくれるんですが、もう踊り手の男女四人が入ってきた瞬間から、あまりににぎやかなので、みんなあっけにとられてしまいました。綺麗な民族衣装を着た踊り手の皆さんが手を打ち足を鳴らし、女性はスカートをクルクル翻し、ハッハッと掛け声をかけながら、音楽にあわせて踊るんですよ。残念ながら、あまり美形とはいえない中年にさしかかった男女でしたが、それでもすごい迫力! 五分も踊ればけっこうな運動量になるんじゃないでしょうか。その場で食事をしている何十人というお客さんを、たった四人で圧倒してしまうプロのパフォーマンス。これは凄い。なごやかなフォークダンスみたいなのを想像していた私は、あっけにとられるやら気押されるやら、真ん前の席で目を皿のようにして見ていました。が、そのうちもっと信じられないことが起こるんです。なんと、お客までもパフォーマンスに参加させちゃうんですよ。つぎつぎに、お客がステージに引き出されて、ショウを繰り広げることに。その面白いこと。目隠しをして踊らされたり、即席の芸を仕込まれたり。酔いも回って、もう観客席は興奮のるつぼ。

何を隠そう、前のほうの席に座っていた私も夫も、舞台に引きずり出されたのです(~_~;)
私は男性のパートナーと、踊ったというより、大柄な彼にひたすらクルクル振り回されて目が回ったという感じ。夫はといえば、猛獣ショウで使うような長い鞭を持たされて、それをバチンと勢いよく振り下ろす練習。でも、長い鞭って、けっこう扱いが難しいみたいなんですよ。シロウトがやっても、なかなかピシッと威勢のいい音がでない。うちの夫が怖がって、亀のように首をすくめながら、おかしなへっぴり腰でやみくもに鞭を振り回しているものだから、その情けない姿にみんな爆笑に次ぐ爆笑! でもそれが熟年の奥様方に受けたらしく、あとで私は「ダンナさん、可愛かったねぇ」とみんなに言われました。当の本人は席に戻ってくると、まるで子供のように「怖かった、怖かったぁ('o')」と半泣きになってたんですが。
まぁ、あの人、そういえばなんか母性本能くすぐる術を会得しているようで、旅のあいだじゅう、同行のマダムたちから慈愛に満ちた眼差しを注がれてましたねぇ(~_~;) おかげで妻の私は、マダムたちから「まじめそうな、いいダンナさんやねぇ。もっと優しい言葉かけて大事にしてあげんとあかんよ」などと説教される始末。同じ歳くらいの自分の息子のことを思い出したのでしょうか。私は曖昧にうなずきつつも、心中フクザツな気分・・・(ーー;)


トカイワインとフォアグラ

ブダペストでぜひ味わってみたいものが、トカイワインとフォアグラ。
トカイワインはトカイ地方で生産される極甘口の白ワインで、そのなかでも Tokaji-Aszu(トカイ・アスー)は世界の三大貴腐ワインのひとつ。ワインに詳しい人なら、ご存知でしょうけれど、等級が上がるほどコクや甘みが増し、そのぶん値段も高くなる。木に成ったまま完熟させ、寒くなるまで摘み取られずにいた葡萄からつくるので稀少なワインです。トロリとした琥珀色、特徴のある強い甘みが、もうやみつきになる美味しさ。ちなみに、日本のデパートでは500mlボトルで数千円するものが、現地ではほぼ半額。ここは思いきって極上クラスのものを買い求め、ひとときの贅沢を満喫すべき。
フランス料理で有名なフォアグラも、現地では超安値。100g入りの缶詰で、千円もしないぐらいです。私は、こういった脂肪分の多いものが好きではないので、これが美味しいかどうかもわからないのですが、私のぶんまでパンやサラダと一緒にパクパク食べていた夫に言わせると、くせがなくて食べやすいとのこと。お買い得です。
あと、ハンガリーでは、ほかのワイン類やキャビアの瓶詰めなども安く、珍味やお酒の類が好きな人にはとってもいいところですね。


行けなかったセンテンドレ

実質的に旅の最終日となった十四日ですが、船に乗って半日のドナウ川遊覧、センテンドレという小さな街に向かう予定だったんですね。でも、もういい加減、旅疲れしてきた私たちふたりは、それをキャンセルしようということに。とくに、夫にはツアーというものがいささか窮屈だったらしく、「もー、明日行くのんイヤや。自由にしたい」とむくれている。で、前夜、添乗員さんにキャンセルの連絡をして、フリーの一日となったわけです。
当日、ゆっくり朝寝坊したはいいんですが、寝坊しすぎたのか、誰もいない食堂に行けば、開いていることは開いているけど、食べるものがなにもない! もう固くなったパンとか、まるごとの果物が申し訳程度にあるばかり。なにこれ。昨日までの豪勢な朝を思い出し、思わず顔を見合わせる私たち。あ〜ん、サラダもヨーグルトもハムエッグもプチケーキもないよぉ!
それでも気を取り直し、がたぴし揺れるバスで市内へ繰り出して、買い物や食事をしていたらもう午後。さぁ、足も疲れたしコーヒーでも飲もうと、大きな喫茶店に入ったところ、あとからツアーの人たちのお馴染みの姿が。なんとなく、授業をさぼっているのを見つかった学生のような気分で挨拶したところ、「センテンドレはよかったよ〜」とみなさん口々におっしゃる。非常に美しい街並みが印象的だったと。「一緒にくればよかったのに」と言われました。
で、そこを出てワインやフォアグラを買いに中央市場へ向かう道すがら、小さな街のこと、添乗員さんには会うは、ツアーのほかの人たちにも順番に会うはで、みんなから、「センテンドレはよかったよ〜」と言われてしまいました(~_~;)
まぁ、残念は残念だけど、また行く機会があるかもしれませんから。ね。

〜*〜*〜*〜*〜

この東欧の旅、ベルリンなどドイツ国内では、もはや東って雰囲気もあまりありませんでしたが、プラハ、ブダペストでは、やはり東欧なんだなと感じさせられました。またいつか、行ってみたいと思う街ばかりです。
至れり尽くせりのサービスがよすぎる、何事もスピーディすぎる、そして商魂たくましすぎる国や人に慣れていたら、どことなくそういうふうにはなりきれていない国や人の雰囲気が、新鮮に映ります。こんなふうに暮らすのも、いいかもしれない、こういう幸せってあるかもしれない、それは無責任な旅人の幻想だけれど、それでもいいじゃないですか。心や身体が疲れているとき、ニューヨークなどに行くと余計に疲れる気がしますが、プラハやブダペストだと、きっと癒されるんじゃないかと思いますね。オススメです。みなさまも、一度、いかがでしょうか?

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